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ディヴェルティメント
ディヴェルティメントは「喜遊曲」と訳されているが、単に娯楽だけを目的として作られたものではない。 18世紀におけるディヴェルティメントはヴァラエティに富んだジャンルで、楽器編成も様々だった。 セレナードノットゥルノ、カッサシオンと同じく上流階級向けの娯楽音楽といえる。 セレナードは野外演奏されることがあり、編成がかなり大きく、シンフォニーと区別がつかなくなるが、 ディヴェルティメントの方は屋内演奏のため室内楽的で、弦楽四重奏曲などと近くなる。 また前者は8楽章が典型であるのに対して、後者は6楽章。いずれも宴席などの雰囲気を盛り上げるのが目的で、その前後には行進曲があった。 その目的はさまざまであり、楽器編成や楽章数もまたさまざまである。 セレナードから4つの楽章をとってシンフォニーを作ったり、残りの(ヴァイオリンが活躍する)楽章からはヴァイオリン協奏曲を編集したりすることもある。
「新モーツァルト全集」ではディヴェルティメントを次のように3つのグループに分類しているが、当サイトでは敢えてここに一つにまとめている。 音楽の素人にはありがちなこととご容赦願いたいが、作曲者がそのような区分を意識して作曲していたとは思えず、そのときどきの事情に応じて楽器編成などを考えていただけではないかとすると、伝統的なケッヘル番号で(つまり、作曲された年代順に)並べる方が調べやすいからである。 ただし、新全集の分類を以下のリスト中では、[A]、[B]、[C] のように印をつけて示した。
  1. 第1部 オーケストラのためのディヴェルティメント、カッサシオン
  2. 第2部 管楽器のためのディヴェルティメント
  3. 第3部 弦楽器と管楽器のためのディヴェルティメント
「弦楽三重奏のためのディヴェルティメント」として有名な K.563 は新全集の分類に従って「弦楽と管楽のための三重奏曲・二重奏曲」のページに含めた。
 
  1. 混成曲「ガリマティアス・ムジクム」 ヘ長調 K.32
    1766年3月 ハーグ [A] 3月に行われたオランニエ公ヴィレム5世の即位祝いの食卓音楽として。 父レオポルトは「ガリマティアス・ムジクムと題したクォドリベット」と記した。

  2. カッサシオン ニ長調 K.62
    1769年夏 ザルツブルク [A] セレナード第1番 K.100 (62a) の前後に演奏される行進曲

  3. カッサシオン 第1番 ト長調 K.63
    1769年夏 ザルツブルク [A] ザルツブルク大学の終業式のための、いわゆる「フィナールムジーク」の一つ。

  4. カッサシオン 第2番 変ロ長調 K.99 (63a)
    1769年夏 ザルツブルク [A]

  5. ディヴェルティメント 第1番 変ホ長調 K.113
    1771年11月 ミラノ [A] クラリネットが使われた最初の管弦楽作品

  6. ディヴェルティメント 第2番 ニ長調 K.131
    1772年6月 ザルツブルク [A] 作曲の動機や目的は不明

  7. ディヴェルティメント ニ長調 K.136 (125a)
    1772年1〜3月 ザルツブルク [A] 旧全集では弦楽四重奏曲第24番

  8. ディヴェルティメント 変ロ長調 K.137 (125b)
    1772年1〜3月 ザルツブルク [A] 旧全集では弦楽四重奏曲第25番

  9. ディヴェルティメント ヘ長調 K.138 (125c)
    1772年1〜3月 ザルツブルク [A] 旧全集では弦楽四重奏曲第26番

  10. ディヴェルティメント 第3番 変ホ長調 K.166 (159d)
    1773年3月24日 ザルツブルク [B]

  11. ディヴェルティメント 第4番 変ロ長調 K.186 (159b)
    1773年3月 ミラノ [B] 作曲の目的は不明。 第5楽章は未完のバレー音楽「後宮の嫉妬」から流用。

  12. ディヴェルティメント 第5番 変ロ長調 K.187 (Anh.C17.12)
    10の小曲から成り、楽器編成は次の「ディヴェルティメント 第6番」と同じ。 ただし別人の作であることがわかっており、モーツァルト本人の作品ではないが、敢えてここに記載し並べておく。

  13. ディヴェルティメント 第6番 ハ長調 K.188
    1773年夏 ザルツブルク [B]

  14. ディヴェルティメント 第7番 ニ長調 K.205 (167A)
    1773年7月 ザルツブルク? [C] 曲の成立に2説があり、一つは6月ザルツブルクのアントレッター夫人のためというものと、他は父とウィーン滞在中の8月18日メスメル博士の庭で開かれた演奏会のためというもの。

  15. ディヴェルティメント 第8番 ヘ長調 K.213
    1775年7月 ザルツブルク [B]

  16. ディヴェルティメント 第9番 変ロ長調 K.240
    1776年1月 ザルツブルク [B] 大司教のための食卓音楽

  17. ディヴェルティメント 第10番 ヘ長調 「ロドロン・セレナード第1」 K.247
    1776年6月 ザルツブルク [C] 伯爵夫人アントニアの霊日の祝日のために

  18. ディヴェルティメント 第11番 ニ長調 K.251
    1776年7月 ザルツブルク [C] 姉ナンネルの霊名の祝日のために

  19. ディヴェルティメント 第12番 変ホ長調 K.252 (240a)
    1776年1〜8月 ザルツブルク [B] 舞曲風4楽章。大司教の食卓音楽。

  20. ディヴェルティメント 第13番 ヘ長調 K.253
    1776年8月 ザルツブルク [B] 大司教のための食卓音楽として作られたらしい6つの同じ楽器編成によるディヴェルティメントの中で唯一の3楽章作品。 第1楽章が変奏曲なのも珍しい。

  21. ディヴェルティメント 第14番 変ロ長調 K.270
    1777年1月 ザルツブルク [B] 大司教の食卓音楽として

  22. ディヴェルティメント 第15番 変ロ長調 「ロドロン・セレナード第2」 K.287 (271H)
    1777年6月? ザルツブルク [C] 伯爵夫人の霊命の祝日のためと推定される。

  23. ディヴェルティメント ヘ長調 未完 K.288 (246c)
    76年6月 ザルツブルク [A]

  24. ディヴェルティメント 第17番 ニ長調 「ロビニッヒ」 K.334 (320b)
    1779年〜80年 ザルツブルク [C] 富豪ロビニッヒ夫人ヴィクトリアの依頼で。 モーツァルトのディヴェルティメントの中で最も有名な作品。 第3楽章のメヌエットはよく単独で演奏されるほどポピュラー。

  25. 音楽の冗談 ヘ長調 「村の音楽家の六重奏曲」 K.522
    1787年6月14日 ウィーン [C]


追  加


  1. 6つのディヴェルティメント (紛失) K.41a
    1767年 ザルツブルク
    父が残したカタログに「ヴァイオリン、クラリーノ、ホルン、フルート、ファゴット、トロンボーン、ヴィオラ、チェロなどの楽器のための4声部の6つのディヴェルティメント」と記されているのみで、作品は行方不明。

  2. ディヴェルティメント 変ホ長調 K.Anh.226 (196e / Anh.C17.01)
    1. Allegro moderato
    2. Menuetto et Trio
    3. Romance : Adagio ma un poco andante
    4. Menuetto : Allegretto
    5. Andante - Allegro ロンド形式
    〔編成〕 2 ob, 2 cl, 2 hr, 2 fg
    〔作曲〕 1775年初? ミュンヘン?
    偽作? 次の曲と共に真偽に関してまだ結論が出ていない。 モーツァルトの死の10年後に出版された作品であるため、疑問視されていたが、 現在では、1775年の始め、ミュンヘンの管楽グループのために書いたものとされている。 フィナーレは、ハイドンもときどき使った「狩のフィナーレ」といわれる。
    〔演奏〕
    CD [MVCW-19017] t=23'03
    ウィーン・フィル木管グループ
    1954年
    CD [ORFEO 32CD-10120] t=21'21
    ベルリン・フィル管楽合奏団
    1983年

  3. ディヴェルティメント 変ロ長調 K.Anh.227 (196f / Anh.C17.02)
    1. Allegro
    2. Menuetto et Trio
    3. Adagio
    4. Menuetto
    5. Andante
    〔編成〕 2 ob, 2 cl, 2 hr, 2 fg
    〔作曲〕1775年初? ミュンヘン?
    偽作? 前曲とともに、1800年プラハでフルート奏者ライトルが持っていた写本による。 第2楽章の冒頭主題はミサ・ブレヴィス K.220 のベネディクトゥスのと同じ。
    〔演奏〕
    CD [MVCW-19017] t=17'17
    ウィーン・フィル木管グループ
    1954年
    CD [ORFEO 32CD-10120] t=13'53
    ベルリン・フィル管楽合奏団
    1983年

  4. ディヴェルティメント 第16番 変ホ長調 (偽作) K.289 (271g)
    自筆譜はない。 K.213に始まる6つの大司教の食卓音楽の最後の曲(1777年初夏ザルツブルク作)と見られているが、技法が拙く、真作でないとされた。

  5. ディヴェルティメント ニ長調 K.320B
    Divertimento for 2 violins, bass and 2 horns. (fragemnt)
    1772年か73年 ザルツブルク
    断片 41小節。 第3版でアインシュタインはディヴェルティメント K.247 に結びつけたが、第6版は K.334 (320b) と関連させ、1779年に位置づけた。 しかし新全集でプラートは筆跡から1772年か1773年頃と推定。

  6. ロンド ヘ長調 K.Anh.108 (522a)
    Allegretto ヘ長調 断片 24小節。 編成は「2 hr, 2 vn, va, bs」で、1787年6月前半、ウィーンの作。 『音楽の冗談』(K.522)フィナーレの草稿とみられる。


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2012/02/05
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