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K.53 (47e) 歌曲「歓喜に寄す」 ヘ長調

編成 1声、ピアノ伴奏
作曲 1768年11月? ウィーン

モーツァルトの最初の歌曲。 40小節、4分の2拍子、ヘ長調。 曲の冒頭に「中庸の速さで」と指定されている。 歌声部とピアノ低音(左手だけ)が書かれているので、伴奏者の右手は即興的に和声をつけなければならない。 伝統的な様式で作られた習作的な有節歌曲であり、すぐにモーツァルトはこの古風な様式から離れてゆく。

この曲の成立に関して、以下の逸話が有名である。 1767年9月、モーツァルト一家は、皇女マリア・ヨゼファ(マリア・テレジア女帝の9番めの皇女、当時16歳)とナポリ・シチリア王フェルディナント1世の婚儀のために催される祭典をめざしてウィーンへ旅立ったが、ちょうどその頃ウィーンでは天然痘が大流行していた。 皇女マリア・ヨゼファは10月15日に病死した。 10月下旬、モーツァルト一家はウィーンを離れ、オルミュッツに避難したが、まずヴォルフガングが、次に姉ナンネルも天然痘にかかり、このときヴォルフガングは一時的に失明し、危険な状態にまでいったという。 奇跡的に助かったとき、その喜びをレオポルトはザルツブルクのハーゲナウアーに次のように伝えている。

(1767年11月10日、レオポルト・モーツァルト)
ヴォルフガングは幸運にも天然痘に打ち克ちました!
で、どこで? オルミュッツでです!
海老沢&高橋編訳「書簡全集 I」 白水社 p.301
そのとき救ってくれたのがオルミッツの医師ヴォルフ(Joseph Wolff, 1724-78?)であった。 そのお礼に、モーツァルトは令嬢(Nepomucena Franziska Wolff, 1758-?)にこの曲を書いたのだという。
(1778年5月28日、レオポルト・モーツァルト)
オルミュッツからは侍医のヴォルフが一緒に来ておられましたが、この人のお嬢さんのために、昔、ヴォルフガングはオルミュッツでアリアを一曲作曲してあげました。
海老沢&高橋編訳「書簡全集 IV」 白水社 p.81
このようないきさつを根拠にして、アインシュタインはこの曲の成立を説明し、ケッヘル第3版でレオポルトの手紙のあとの1767年12月の作(K.43b)としたのであった。 しかし、現在はこの説は否定され、ヴォルフ嬢のために書いたアリアは散逸した(またはK.deestか?)とされている。 そして作曲された時期は、ウーツ(Johann Peter Uz, 1720-96)の詩が出版された頃に合わせて K.47e に置かれた。

ウーツの詞は7つの節から成るが、演奏ではそのうちの2つの節が歌われることが多い。

歌詞(第1節)
Freude, Königin der Weisen,
Die, mit Blumen um ihr Haupt,
Dich auf güld'ner Leier preisen,
Ruhig, wenn die Torheit schnaubt.
  喜びよ、英知の女王よ、
彼女は花を頭に飾り、
黄金の琴の音にあなたを讃える、
静かに、愚者が息まくとも。
(以下、略)
石井宏訳 CD[PHILIPS UCCP-4085/7]

演奏
CD[PHILIPS UCCP-4085/7] t=2'32
アーメリング Elly Ameling (S), ボールドウィン Dalton Baldwin (p)
1977年8月、オランダ
※次と同じ。※第1と第7節を演奏。
CD[PHILIPS 422 524-2] t=2'30
アメリンク Elly Ameling (S), ボールドウィン Dalton Baldwin (p)
1977年8月、オランダ
※上と同じ。
CD[WPCC-4666] t=3'38
ボニー Barbara Bonney (S), パーソンズ Geoffrey Parsons (p)
1990年8月、ベルリン
※第1と第7節を演奏。
CD[BVCO-37429] t=2'24
ジャーノット Konrad Jarnot (Br), シュマルツ Alexander Schmalcz (p)
2005年12月、ドイツ、ヴェルトゼー
※第1と第7節を演奏。

 


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2009/02/11
Mozart con grazia