| 17 age |
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K.26 ソナタ 変ホ長調
■作曲 1766年2月 ハーグ |
3年前の1763年6月9日に西方への大旅行に出発したモーツァルト一家は、ようやくこの年の11月29日に帰郷することになる。 最も遠方の地ロンドンではクリスチャン・バッハ(当時30歳)から直に学ぶ機会を得ることができたのは大きな収穫であった。 前年の1766年7月24日に一家はロンドンを出発し、ドーヴァー海峡を渡り、大陸に戻ったあと、レオポルトはイタリアへ向い、ミラノとヴェネツィアを回ってからザルツブルクに帰るつもりでいた。 ところが、ロンドンを離れるとき、当時18歳のオランダ総督オランニエ公ヴィレム5世(Willem V, 1748-1807)の命を受けたオランダ駐英大使の熱心な懇願により目的地を変更せざるを得なくなった。 用意周到な計画を信条とするレオポルトが変更を決心するとはよっぽどのことであろうが、その理由として、彼一流のユーモアで「お腹の大きな女の人からの願いは断ってはいけない」からだとしている。 ここでの「お腹の大きな女の人」とは、ヴィレム5世の姉フォン・ヴァイルブルク侯妃カロリーネのことである。 オランダのハーグ(デン・ハーク)に着いたあと、レオポルトは「8月をオランダで過ごし、9月末にはパリへ行く」つもりでいたが、ところがよく知られているように、そこで姉弟が重症のチブスにかかったのであった。 そして1766年にかけてようやく回復し、そのために旅行が延ばされてしまうことになったのである。 このようななかで、幼いモーツァルトはオランニエ公と当時23歳の姉カロリーネ王女(Karoline, Prinzessin von Oranien, 1743-87)のために、アリア「誠実に身を守れ K.23」、ピアノ変奏曲「ト長調 K.24」と「ニ長調 K.25」などを相次いで作曲したが、さらにここに並ぶ6曲の「ヴァイオリンの伴奏を伴うピアノ・ソナタ」を短期間のうちに作曲し、それを「作品4」として贈ったのであった。 そして4月頃にはすぐ当地で出版された。 このような経緯から、これら6曲のソナタは「ハーグ・ソナタ」または「オランダ・ソナタ」と呼ばれている。 この作品はどれも10歳の少年モーツァルトがクリスチャン・バッハの影響を強く受けた直後のものであり、それを貪欲に消化吸収しようとする過程が見られる。 ただし、アインシュタインは
これらは少年の音楽的発展を見るにはこのうえなく興味をひくものであるが、ほとんど伴奏ヴァイオリンを伴うピアノのための練習用ソナタでしかなく、またそれ以上の価値を持たない。 これらのソナタの楽章の多くは、元来ピアノだけのための曲として存在したのである。と手厳しい。 しかし、ソロモンは「(これらのソナタは)創意に満ち、技術的には当時のほとんどの有名作品に匹敵する」というトーヴィの言葉を引用し、一定の評価を与えている。 その後のモーツァルトが到達した高みを考えると、確かにアインシュタインの言う通りであろうが、10歳の少年が当時の優れた作曲家と肩を並べるまでになろうとしていたのである。浅井真男訳「その人間と作品」白水社 p.345
6曲の中でこの曲だけが3楽章で、他は2楽章から成る。 シリーズの開幕を印象づけるように力強くしかし軽快に始まる。 中間楽章は一転して短調であるが、暗く沈むことはなく、荘重でゆっくりとした歩調で進む。 再び軽快なフランス風ロンドで、舞うようなピアノと伴奏ヴァイオリンのアンサンブルが心地好い。
■演奏
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CD[PHILIPS PHCP-9081-2] t=11'09 ヴェルレ Blandine Verlet (hc), プーレ Gerard Poulet (vn) 1974-75年 |
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CD[音楽出版社 OACD-2] t=5'35 小林道夫 (p), 岡山潔 (vn) 1991年8月、松伏町田園ホール・エローラ |
K.27 ソナタ ト長調
■作曲 1766年2月 ハーグ |
ハーグ・ソナタ第2番。オランニエ公妃への作品4の2。 第1楽章ではピアノが繊細に歌い、ヴァイオリンが伸びやかに優しく付き添うようで、叙情的な静けさが美しい。 跳ねるような第2楽章途中でト短調に変り、一瞬の翳りが現れるが、すぐまた生き生きとした明るさに戻る。
■演奏
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CD[東芝EMI TOCE-6725-30] t=9'12 クラウス Lili Kraus (p), ボスコフスキ Willi Boskovsky (vn) 演奏年不明 |
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CD[PHILIPS PHCP-9081-2] t=7'10 ヴェルレ Blandine Verlet (hc), プーレ Gerard Poulet (vn) 1974-75年 |
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CD[音楽出版社 OACD-2] t=5'33 小林道夫 (p), 岡山潔 (vn) 1991年8月、松伏町田園ホール・エローラ |
K.28 ソナタ ハ長調
■作曲 1766年2月 ハーグ |
ハーグ・ソナタ第3番。オランニエ公妃への作品4の3。 ピアノがさらに躍動的になるに合わせて、今まで従属的だったヴァイオリンが初めてピアノと交互に歌い出してくる。 第2楽章は軽快で優雅な舞踏の雰囲気がある。
■演奏
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CD[PHILIPS PHCP-9081-2] t=5'35 ヴェルレ Blandine Verlet (hc), プーレ Gerard Poulet (vn) 1974-75年 |
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CD[音楽出版社 OACD-2] t=3'49 小林道夫 (p), 岡山潔 (vn) 1991年8月、松伏町田園ホール・エローラ |
K.29 ソナタ ニ長調
■作曲 1766年2月 ハーグ |
ハーグ・ソナタ第4番。オランニエ公妃への作品4の4。 ヴァイオリンが技巧的に使用され、ピアノと一緒になって曲を進めてゆく。 メヌエットのトリオはメランコリックなニ短調で、その美しさには定評がある。
■演奏
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CD[PHILIPS PHCP-9081-2] t=6'56 ヴェルレ Blandine Verlet (hc), プーレ Gerard Poulet (vn) 1974-75年 |
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CD[音楽出版社 OACD-2] t=4'33 小林道夫 (p), 岡山潔 (vn) 1991年8月、松伏町田園ホール・エローラ |
K.30 ソナタ ヘ長調
■作曲 1766年2月 ハーグ |
ハーグ・ソナタ第5番。オランニエ公妃への作品4の5。 ピアノの左右の手による二重唱の叙情豊かなアダージョが印象的である。 ヴァイオリンは伴奏に徹し、従属的な役割に戻っているが、絶妙な息遣いでピアノを包み込んでいるようである。 第2楽章のフランス風ロンドで一瞬、ヘ短調に翳るところにはモーツァルト特有の美を感じることができる。
■演奏
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CD[PHILIPS PHCP-9081-2] t=5'51 ヴェルレ Blandine Verlet (hc), プーレ Gerard Poulet (vn) 1974-75年 |
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CD[音楽出版社 OACD-2] t=6'01 小林道夫 (p), 岡山潔 (vn) 1991年8月、松伏町田園ホール・エローラ |
K.31 ソナタ 変ロ長調
■作曲 1766年2月 ハーグ |
ハーグ・ソナタ第6番。オランニエ公妃への作品4の6。 軽快にピアノとヴァイオリンが駆け出し、さわやかに風が通り抜けるような印象がある。 第2楽章は主題と6つの変奏から成り、モーツァルトの様々な工夫が見られる。 このジャンルで初めての変奏曲でシリーズの最後を締めくくった。
■演奏
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CD[PHILIPS PHCP-9081-2] t=8'10 ヴェルレ Blandine Verlet (hc), プーレ Gerard Poulet (vn) 1974-75年 |
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CD[音楽出版社 OACD-2] t=5'08 小林道夫 (p), 岡山潔 (vn) 1991年8月、松伏町田園ホール・エローラ |
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