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K.509 6つのドイツ舞曲
■作曲 1787年2月6日 プラハ |
1787年、プラハでは「フィガロの結婚」が大人気だった。 モーツァルトは妻コンスタンツェを伴ってウィーンをたち、1月11日にプラハ到着。 これが第1回目のプラハ旅行になった。 19日には交響曲第38番「プラハ」を、さらに22日には「フィガロ」を指揮している。
みんなぼくの「フィーガロ」の音楽を、コントルダンスやアルマンドばかりにして、心から楽しそうに跳ねまわっているのを見て、すっかり嬉しくなってしまった。 じっさいここでは「フィーガロ」の話でもちきりで、弾くのも、吹くのも、歌や口笛も、「フィーガロ」ばっかり、「フィーガロ」の他はだれもオペラを観に行かず、明けても暮れても「フィーガロ」「フィーガロ」だ。柴田治三郎「モーツァルトの手紙」岩波文庫
プラハ滞在中パハタ伯爵(Johann Joseph Philipp Graf Pachta von Rajov, ? - 1822)邸での舞踏会のために書かれたこの曲には有名なエピソードがある。 約束の舞踏会用舞曲をなかなか書いてくれないモーツァルトに対して、伯爵は一計を案じて1時間早く食事の招待した。 ほかの人より早く到着したモーツァルトの前に用意されていたのは御馳走ではなく、五線紙とペンとインクだったという。 こうして招かれてすぐ作曲を求められたモーツァルトは1時間で書き上げたのだった。 第1曲で1ヶ所、段を書き間違えて改めているところと、第6曲で7小節を縮めているところを除けば、まったく訂正なしの速筆ぶりで、ペンよりも速く楽想が走っている。
この年の12月7日にウィーン宮廷作曲家になり、毎年冬期間の舞踏会でのダンス音楽を死までの間に大量に(5つのメヌエット、10のコントルダンス、9つのドイツ舞曲)作ることになるが、それらの最初に位置するこの作品には特異な工夫がなされている。 それは「各舞曲にはトリオまたはアルテルナティーヴォがついている。 その後主部が繰り返され、再びアルテルナティーヴォになり、そして次の曲に移る」と指示されているように、6曲がトリオのような交替曲 alternativo によって鎖のように繋がり、息つく間もなく次々に演奏され、かつ各曲がそれぞれ個性を持っていることである。 アルテルナティーヴォを繰り返し織り込みながら、堂々とした始まりから様々な変化を楽しんで、最後には華やかに終る曲全体の統一感はモーツァルトならではの作品であり、ダンスを大いに盛り上げる効果満点である。 「フィガロ」で沸き立つプラハの市民のためにモーツァルトが上機嫌で書き上げた特上の一品である。
そもそも食事を招待されて行ったところに仕事が待っていたとき、並の作家なら(仕上げることができない自分の才能のなさは棚にあげて)怒り出すかもしれない。 しかし、そこは天才中の天才モーツァルト、しかも遊び好きのモーツァルトであれば、だまされたことを笑って「おやすい御用」とばかりに一気に仕上げたに違いない。 パハタ伯爵が持っていたという楽団はなかなかの規模だったのだろう。 モーツァルトが湧きあがる楽想を浮き浮きと五線紙に載せた生きのよさに魅了される。
■演奏
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CD [EMI TOCE-11559] t=10'44 ギーゼキング Walter Gieseking (p) 1954年3月、ロンドン No.3 Studio, Abbey Road |
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CD [キング KICC 6039] t=12'20 ボスコフスキー指揮 Willi Boskovsy (cond), ウィーン・モーツァルト合奏団 Vienna Mozart Ensemble 1964年4月 |
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CD [PHILIPS 32CD-486] t=12'13 マリナー指揮 Neville Marriner (cond), アカデミー室内管弦楽団 Academy of St. Martin-in-the-Fields 1981年11月 |
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CD [COCO-78048] t=13'30 グラーフ指揮 Hans Graf (cond), ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団 Salzburg Mozarteum Orchestra 1990年5月 |
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CD [SONY CSCR 8360] t=6'29 御喜美江 Mie Miki (classic accordion) 1990年9月、カザルス・ホール |
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CD [SONY SRCR-8625] t=14'06 ヴァイル指揮 Bruno Weil (cond), ターフェルムジーク・バロック管弦楽団 Tafelmusik 1991年2月 |
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