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アリエッタ「御手に口づけ」 K.541

  • Allegretto ヘ長調 Ariette for Bass "Un bacio di mano"
〔編成〕 B, fl, 2 ob, 2 fg, 2 hr, 2 vn, 2 va, vc, bs
〔作曲〕 1788年5月 ウィーン
1788年5月



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1788年6月2日ウィーンのブルグ劇場で初演されたアンフォッシのオペラ『幸運な嫉妬 Le gelosie fortunate』の第2幕第4場への挿入歌として、フランチェスコ・アルベルタレリ(23歳)のために作曲した。 この歌詞はリヴィーニ(Filippo Livigni)原作であるが、ダ・ポンテによって書き換えられたとされる。

当時ダ・ポンテは台本を印刷に回す権限があり、オペラ・ブッファ作品のイタリア公演においてほかでもないこのアリアが初めて出現し、アルベルタレッリが『ドン・ジョヴァンニ』のウィーン版の出演者でもあることから、ダ・ポンテの歌詞である点に懸念はほとんどない。
[ブレッチャッハー] p.172
アルベルタレリは『ドン・ジョヴァンニ』(K.527)のウィーン初演(5月7日)のときタイトル・ロールを歌ったことで知られている。
このアリア『み手にくちづけ』(Un bacio di mano)は『女はみんなこうしたもの』(K.588)のブッフォの領域に属している。 機智縦横のフランス人ジロー氏が、恋をしているいささか低脳な男に皮肉な助言を与えるのである。 このアリアが有名になったのは、これがすでに、『ジュピター・シンフォニー』(K.551)の第一楽章の第三主題を、そっくり先取りしているからであり、またそれによって、どれほど多くのブッフォ的要素が、あらゆるシンフォニーのうちで最も王者的なこの作品のなかにも出没するかが証明されているからである。 しかし同時に、このアリアは機智、活気、簡潔さ、舞台知識などの点でも一つの傑作である。
[アインシュタイン] pp.506-507
モーツァルトはこの曲の一節(第20〜36小節)を2ヶ月後の「ジュピター交響曲」(K.551)の第101〜111小節に使用したのである。 なお、事情は不明であるが、このアリエッタを最初に歌ったのはニッコロ・デル・ソーレだったという説もある。

〔歌詞〕
Um bacio di mano
Vi fa maraviglia,
E poi bella figlia
Volete sposar.
Voi siete un po'tondo,
Mio caro Pompeo,
L'usanze del mondo
Andate a studiar,
Un uom che si sposa
Con giovin vezzosa
A certi capricci
Dee pria rinunciar,
Dee libere voglie
Lasciar alla moglie
Dee sempre le porte
Aperte lasciar,
Dee chiudere gli occhi,
Gli orecchi, la bocca,
Se il re degli sciocchi
Non vuole sembrar.
Voi siete un po'tondo, ecc.
手に口づけをされたら
おまえはぽぅっとなる。
そしてかわいい娘を
もらいたくなる。
おまえは少しうすのろだ、ポンペオ君。
世の中というものを
少しは勉強に行け、
行け、行け、・・勉強に行け・・
きれいな女の子と
結婚する男は
まずはうわ気を
あきらめなばならぬ。
そして女房を
気ままにさせねばならぬ。
家の戸はいつも
あけておかなければならぬ。
彼氏は見ざる、聞かざる、
言わざるでなければならぬ、
もしも、ばかの王様と
思われたくないのなら。
おまえは少し・・・
石井 宏訳 CD[EMI TOCE-6598]

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-6598] t=2'02
アレン Thomas Allen (Br), アームストロング指揮スコットランド室内管弦楽団
1984年3月、エジンバラ
CD [L'oiseau Lyre 458 557-2] t=2'06
スカルトゥリーティ Roberto Scaltriti (Br), ルーセ指揮 Les Talens Lyriques
1996年8月、パリ
CD [Brilliant Classics 93408/4] t=2'19
Ezio Maria Tisi (Bs), European Chamber Orchestra, Wilhelm Keitel (cond)
2002年6月、バイロイト

〔動画〕


 

Francesco Albertarelli

1765~1800以後

バス歌手。 1765年ローマに生まれ、1782年シエナでチマローザ作『競い合う女』で初舞台。 道化役を得意とした。 1788年ウィーンの宮廷劇場と契約を結び、サリエリダ・ポンテの『オルムズの王アクスール Axur, re d'Ormus』に出演するなど、最初のシーズンだけで2250フローリン稼いだという。

パイジェルロの『詐欺師の女帽子屋 La modista raggiratrice』(1787年ナポリ)でアルベルタレッリの力量を聞いて、モーツァルトとダ・ポンテは『ドン・ジョヴァンニ』でタイトルロールを歌うのは彼しかいないと考えたという。

ダ・ポンテの『音楽の蜜蜂 L'Ape musicale』(1789年)を最後にウィーンを去りイタリアに戻ったが、ヨーロッパ各地で客演。 最後の舞台出演はサンクト・ペテルブルク。 おそらくその地で没したと思われている。


〔参考文献〕

 

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2017/06/18
Mozart con grazia