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ピアノのためのロンド ヘ長調 K.494

    Allegro ヘ長調 160小節
〔作曲〕 1786年6月10日 ウィーン
1786年6月



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自作目録に6月10日付けで「クラヴィーアのための小ロンド」と記入されている。
1781年、ザルツブルクから独立し、ウィーンでピアノの生徒をとって生活の糧としていたが、その際、弟子の力量に合わせた多くのピアノ曲を作った。 この曲はトラットナー夫人(28歳)やアウエルンハンマー嬢(28歳)などよりも技量の低い生徒のために書かれたロンドの一つと言われているが、誰なのかは不明。

トラットナー夫人よりも技倆の低い女弟子たちのために、モーツァルトはロンドを書き与えているが、1786年1月10日にヴュルムあるいはヴュルベン嬢のために書いた奇妙な1曲、ニ長調(K.485)もその一例である。 また同年6月10日には別の一人の女弟子のためにヘ長調『小ロンド』(K.494)を書いている。
[アインシュタイン] p.341

親しみやすい旋律で、ほとんど中音部にとどまっている無邪気なロンド(アインシュタイン)ではあるが、それだけに短調部の蔭りは美しい。 2年後の1788年に、様式のまったく違う曲と組み合わせて、ウィーンのホフマイスターから「フォルテピアノまたはクラヴサンのためのソナタ」(K.533)として出版した。 アインシュタインは「モーツァルトは友人であり出版者であったホフマイスターに借金をしていたが、おそらくこんな仕方でいくらかずつ返済したのであろう」と言っている。 よく知られているように、1788年6月からモーツァルトは盟友プフベルクに借金を申し出る手紙を書き始めている。

ウィーンに住んでから3年ないし4年の間に、モーツァルトは自分が好きなようにする自由を味わい、自らコンサートの興行主となって事業を成功させ、利益を収穫する自由を味わってきた。 しかしここに至って再び、ウィーンでの音楽市場を手中にしているコンサート興業主や劇場の支配人たちの傘下に組みこまれることになった。 そして、再び、プロデューサー、出版社、貴族などからもらう金を当てにして生きる身となったのである。 本人はまだ気がついていなかったが、モーツァルトが個人事業主だった時代はすでに終っていた。
[ソロモン] p.477
ソナタK.533を出版するとき、終楽章に置かれたこのロンドの終り近くに26小節が付け加えられた。 追加された対位法的なカデンツァと低音域の終結部の性格的に異なるものであるが、違和感なく聴くことができる。
これらの追加作曲された諸楽章は和声的・多声的な構想の雄大さ、感情の深み、それに彼の最後の諸作品にのみ特徴的な和声上の大胆さを持つものである。 これらの曲は、ほとんど楽器の中間部にとどまっている無邪気なロンドとは全然別物で、もっと強力な楽器のための作品である。 それにもかかわらず、このロンドも美しい三声の『オブリガート』の短調挿入部を持ち、あまりに豊かで完全なので、門外漢は『様式の分裂』に気づかないだろう。
[アインシュタイン] p.341
そのため久元はこのソナタを「玄人向けの作品」と評している。 なお、ロンド単独としては1787年に出版されているが、最終的に(1788年)作曲者自身が一つのソナタとしてまとめたことを尊重し、新全集は「ピアノソナタ第15番」として扱っている。

〔演奏〕
CD [EMI TOCE-11559] t=5'59
ギーゼキング Walter Gieseking (p)
1953年8月17日、ロンドン、 No.3 Studio, Abbey Road
CD [BVCD 34037] t=6'29
ホグウッド Christopher Hogwood (hc)
2004年10月、ザルツブルク、モーツァルト生家
※1700年代後期のモーツァルト所有クラヴィコードで演奏
CD [TOCP 67726] t=5'31
チルドレン・コア・オブ・ラジオ・ソフィア, 45人のエジプトのミュージシャン, Milen Natchev指揮ブルガリア交響楽団
1997年

〔動画〕

〔参考文献〕


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2016/01/17
Mozart con grazia