Mozart con grazia > 幻想曲と変奏曲 > ニ短調
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K.397 (385g) ピアノ幻想曲 ニ短調

Fantasia for piano in D minor (fragment)

作曲 1782年 ウィーン

自筆譜なく、謎の多い作品である。 作曲の動機や時期はまったく不明であり、スヴィーテン男爵邸でヘンデルやバッハとの出会いから生れた「幻想曲ハ短調」(K.396)と並べられ、一応1782年成立(すなわち K.385g)とされている。 ただし、1786年か1787年という説もあり、自筆譜がないためはっきりしない。
初版は作曲者の死後の1804年で、終り方が完全終止でなく、未完という扱いであった。 それが、1806年ブライトコップの出版の際に誰か(ミュラー? August Eberhard Müller, 1767-1817)によって10小節が補筆され、今日に残る。 1804年の初版では(ピアノソナタ K.457 の前奏曲として書かれた幻想曲 K.475 のように)何かのソナタあるいはフーガの前奏曲であるかのように扱われていたが、しかしこの曲に続く作品がないことも謎である。 ただし、これに続くソナタやフーガが書かれないまま終ったとの見方もある。 10小節の補筆が誰によるものかはわからない。 ミュラーはライプツィヒのモーツァルト愛好家でありブライトコップ社とも関係のあった人物であるが、ピアノ協奏曲イ長調(第23番 K.488)にカデンツァを残していることでも知られている。 そして、かえってそのカデンツァのために、この曲の最後の部分の補筆にたずさわったことを疑問視する研究者もいる。 久元は演奏家の観点から次のように指摘している。

モーツァルトの死後その作品の出版に深く関わったアウグスト・エバーハルト・ミュラーがこの曲(K.488)のためにカデンツァを残している。 ミュラーはモーツァルトの《幻想曲 ニ短調 K.397》を補作した人物と見られており、この補作は今日広く使われているものだ。 私はかねてからこの補作に疑問を持っていたのだが、ミュラーが残した《K488》のカデンツァを弾いて、ますます自分の疑問に確信を持った。 ミュラーのカデンツァは指の運動にはなるが、モーツァルトの名作が汚れてしまうようなしろものと言ってよい。 この程度のカデンツァしか書けない人に、モーツァルトの作品の補作が書けるはずがないからである。
[久元 p.187]
ほかの幻想曲と同様、自由な発想が見られ、ロンドとソナタの混合形式になっている。 曲は緩急と中間の3つの部分に大別され、 のように、構成されている。 最初のアンダンテ(2分の2拍子)は深みから浮き上がるような分散和音による即興的な序奏となっている。 それに美しいアダージョの歌がプレストとテンポ・プリモに繰り返し中断されながら続く。 後半のアレグレット(4分の2拍子)の明るい曲想で、アインシュタインは「最も高い意味で子供らしい、あるいは天国的」と評している。

演奏
CD[東芝EMI CC30-3777] t=5'10
ギーゼキング (p)
1953年
CD[CBS SONY 30DC-738] t=8'19
グールド (p)
1972年
CD[DENON CO-3861] t=5'58
ピリス (p)
1974年1〜2月、東京、イイノ・ホール
CD[PHILIPS 32CD-3120] t=6'17
ヘブラー (p)
1977年
CD[KICC-32] t=5'46
イマゼール (fp)
1980年9月
1788年アウクスブルクのシュタイン製フォルテピアノを、ケレコムが1978年ブリュッセルにて複製
CD[EMI CDC 7492742] t=6'27
ナウモフ (p)
1986年
CD[U.S.A. Music and Arts CD-660] t=5'18
キプニス (fp)
1986年
1793年ドレスデンのグレプナー兄弟が制作したフォルテピアノを使用
CD[TELDEC WPCS-10376] t=5'53
カツァリス (p)
1988年12月、ベルリン
CD[RCA BVCC-131] t=5'58
デ・ラローチャ (p)
1990年
CD[PHCP-10370] t=6'57
内田光子 (p)
1991年、大阪シンフォニー・ホール/東京サントリー・ホール、ライブ
CD[ALM Records ALCD-1012] t=5'49
渡邊順生 (fp)
1993年11月、埼玉県入間市民文化会館
Hofmann製フォルテピアノ使用
CD[BVCD 34037] t=5'18 / t=5'43 (コーダつき)
ホグウッド (hc)
2004年10月、イギリス、聖ローレンス教会

引用文献


 

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2009/07/12
Mozart con grazia