| Mozart con grazia > キリエ > ニ短調 |
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K.341 (368a) キリエ ニ短調
■編成 4声, 2 fl, 2 ob, 2 cl, 2 fg, 4 hr, 2 tp, timp, 2 vn, 2 va, bs, og |
アンダンテ・マエストーソ、119小節。
自筆譜ない。
ヤーンは1780年11月〜81年3月ミュンヘンでの作品とし、「ミュンヘンのキリエ」と呼ばれていた。
アインシュタインも『イドメネオ』上演中の1781年初頭にミュンヘンで書かれたと考えていた。
楽器編成にクラリネットとヴィオラが含まれていることから、「それだけですでに、この曲がザルツブルクで成立したという仮定を不可能にする」とし、さらに次のような状況のなかで成立したものと推測していた。
1780年秋、ザルツブルクを抜け出す機会を待っていたモーツァルトに、ミュンヘンの選帝侯カール・テオドールからオペラの作曲が依頼された。
翌年の謝肉祭のオペラ『クレタ王イドメネオ』であり、11月にモーツァルトは大喜びでミュンヘンに向った。
ザルツブルクを離れた彼は再び父と手紙をやりとりするようになるが、11月13日の手紙の追伸に次のことが書かれている。
ぼくが持っている二つのミサ曲の総譜を送ってもらえませんか。 それから変ロ長調のミサ曲も。 というのは、ゼーアウ伯爵が近くそれらの曲について、選帝侯に話をされるそうです。 宗教曲の様式でも、みんながぼくのことを知ってほしいと思います。 グルーアのミサ曲を初めて聴きました。 この種のたぐいなら、一日に半ダースだって作曲できますよ。ここに書かれているミサ曲とは、K.317(ハ長調)、K.337(ハ長調)、K.275(変ロ長調)と思われている。 グルーア(Francesco de Paula Grua, 1754-1833)は当時、マンハイム宮廷楽団の楽長助手であり、1784年に楽長となった作曲家であるが、モーツァルトは彼よりはるかに高い力量を見せ付けるいい機会だと考えたのであろう。 ここで、アインシュタインは次のように推測している。海老沢・高橋編訳「モーツァルト書簡全集 IV」 白水社 p.449
ザルツブルク向きに作った作品がミュンヘンのためには不十分だと思ったので、疑いもなく『イドメネオ』の完成と上演以後に、新しいミサ曲のこの第一楽章を見本として書いたのである。この作品にかけるモーツァルトの意気込みが大規模な楽器編成に現れていると見ることができる。 辻褄の合う推測であり、従来はこのよう説明されていた。 しかし、自筆譜がないため詳しい検証ができず、かわって、タイソンはモーツァルトが1788年頃に書き残したいくつかのキリエのスケッチから推測し、1787年12月〜89年2月の成立とした説を唱えた。 たとえば、ハ長調のキリエ K.323 の自筆譜がこの時期のものであることを考えると、モーツァルトがその頃この種の作品を必要としていたであろうから、そのように推測することも自然かもしれない。 新全集はこの説を支持している。 ただし、この曲はモーツァルト自身が1784年2月から作り始めた「自作全作品目録」に記載されていない。 気の置けない友人たちとの悪ふざけから生れたカノンが多数記載されているのを見ると、この曲がなぜ漏れているのか謎である。浅井真男訳「その人間と作品」 白水社 p.468
「ホモフォニー様式で書かれた宗教音楽の最高傑作の一つ」(ド・ニ)であるこの曲について、アインシュタインはド・サン・フォアの賛辞に言葉を重ねて
祝祭的気分は荘重さに道をゆずった。 《アンダンテ・マエストーソ》はもはや序奏の数小節だけでなく、全曲にわたって適用される。 ニ短調、それはレクイエムの調性である。 モーツァルトはまだ死のことを考えてはいないが、このキュリエはいっさいの高貴な荘重さにもかかわらず、ふたしかなものへの怖れに、それと同時に温和さに、救いの慈愛への信頼に息づいている。 半音階法はつねに和声終止の安定感に譲歩し、刺激はつねに安らいに譲歩する。 建築的構想の円熟、声楽部と器楽部の境界設定、細部における仕上げの繊細さは(管楽器のどれか一対を追求してみるがいい!)、ひざまずきたくなるほどのものである。と書いている。 また、ド・ニは「弦楽器によるモティーフの一つは、すでに『魔笛』のなかのパミーナの歌う苦渋に満ちた、あきらめの境地のアリアそのものである」と言っている。同書 p.468
■演奏
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CD[PHILIPS PHCP-3597] t=7'35 モンテヴェルディ合唱団、ガーディナー指揮、イギリス・バロック管弦楽団 1986年11月、ロンドン |
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CD[WPCS-4094] t=7'30 アルノルト・シェーンベルク合唱団、アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス 1992年、ウィーン |
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